マリンサービス事業部 河原です。
最近は環境に係わる様々な規制が強化されていますが、
国際的な船舶についても規制が強化されてきています。
一般の皆様には馴染みがないことですが…
その中の一つ、当社にも係わりが深いものとして
燃料油中の硫黄分の規制というものがあります。
どういったものかというと、
現在、世界の一般海域(特別な地域を除いた海域)については、
燃料油に含まれる硫黄分の上限が3.5%と定められています。
これが、遅くても2025年には0.5%を上限値とすることが決まっています。
SOXの排出量を抑えるための規制強化です。
陸上で消費される軽油は、硫黄分が10ppmに制限されています。
パーセントで置き換えると、0.0010%以下になりますので
それほど大したことではないように見えるかもしれませんが、
結構、大変で大きな変化になります。
船舶に使用されるC重油と呼ばれる燃料油は、
原油を精製した際に出て来るあまりものと言えます。
製油所としては作りたくて作っているものではありません。
この規制強化をC重油でクリアするためには、
製油所が莫大な投資をして設備を改良する必要があります。
ですが、作りたくないもののためにそのような投資が行われるでしょうか?
他の手段として、
- 使用する燃料を変える(A重油 or LNG)
- 船舶に排気からSOXを取り除く装置を設置する
などありますが、何れにしても
燃料代の高騰や莫大な設備投資など、
大きな負担が掛かってくるものばかりです。
燃料代は船舶を運航するオペレーターに、
排気設備の投資は船舶オーナーに、
燃料油の品質向上は製油所(石油メーカー)に、
それぞれ負担がかかってくる話ですので、
まだ、将来的な方向性は決まっていません。
(簡単にコスト転嫁が出来れば話は早いのでしょうが)
ただ、何れにしても
将来的には運賃に反映される(反映されなければならない)ものですから、
私たちの生活にも深く関わってくることになるでしょうね。