マリンサービス 河原です。
2020年の硫黄分規制ですが、
スタートするタイミングのその時、
一般にはどんな燃料油が出回るのでしょうか?
これを予想するのは大変難しい。
ある程度、予想できることとしては、
硫黄分が0.5%未満の燃料油が
出回るであろうということぐらいです。
ただ、硫黄分が0.5%未満の燃料油といっても、
それがどんなものになるかは現時点では分かりません。
なぜなら、それぞれの地域ごとに事情も異なるから。
日本国内に目を向けると、
現時点でも舶用燃料油の中心であるC重油の需要は
年々減少しています。
国内の蒸留油(ガソリン・灯油・軽油)にしても
少子高齢化、省エネルギー化などによって
需要のピークを越え、減少に転じています。
そのため、国内の製油所の能力が過剰で、
高度化法という法律によって
製油所の能力削減が図られています。
この4月に、JXと東燃ゼネラルが合併するのも
まだ話し合いの途中ではありますが、
出光と昭和シェル石油が合併しようとしているのも
この様な背景があるからです。
また、陸上で使用される燃料油でも
LNGなどへ燃転が進み、
A重油の需要も落ちている状態です。
その様な状況ですから、
日本国内だけを見れば、
0.5%未満の硫黄分の燃料油を供給するとなった場合、
低硫黄A重油で対応する方向に進むことが
一番容易な対応方法の様な気がします。
何せ、日本で販売されている舶用燃料油は
ほとんどが製油所から精製されて出てくるものですから。
一方で、世界の最大のバンカーポートである
シンガポールでは事情が異なります。
シンガポールにも製油所はありますが、
そこから精製される燃料油は
全体のごく一部のみです。
大半は世界中の各地から
製品であったり、基材であったり、
その様な形で輸入されたものです。
C重油自体は、
売りたくて作っているものではなく、
ガソリン・軽油を作ろうとすると
どうしても出てきてしまうものですから、
規制が始まったからといって
世界中の製油所が
船舶の燃料のために投資をすることは無いでしょうから、
シンガポールでは、
世界中から集めた基材をブレンドして
0.5%の硫黄分に合わせたブレンド油が
主流になる可能性が高いように思います。
ただ、現時点で決まっているのは
硫黄分の上限値だけですので、
その他の品質については何の決め事も未だなく、
本当に上手くいくのかはまだ分かりません。
そのため、
低硫黄燃料油の規格を決めていくことも
今後は必要不可欠になります。
この他にも、
ストレージタンク、バージなど
燃料が変わることへの対応が求められる訳ですから
今後の燃料油については、
簡単に決められる問題ではないことが分かりますよね。
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