マリンサービス 河原です。
前回、シリンダ・コンディション・モニタリングが
重要であると書きましたが、
モニタリングはどのように行われているのでしょうか?
舶用の2サイクルエンジンは
超ロングストロークであるがゆえに
シリンダライナに直接潤滑油を注油します。
注油された潤滑油の一部は
燃料と一緒に燃えてしまいますが、
残りは下(掃気口)に落ちてきます。
その使用済みのシリンダ油を採取して、
それを分析することで、
シリンダ内の状態をチェックします。
分析する際の主なチェック項目は、
鉄分と残存TBNの値です。
この2つの項目に関しては、
船上でも簡易分析機を用いることで
測定が可能です。
同じサンプルを
研究所に送って分析すると
より詳しい状態を把握することが出来ますが、
それには時間を要しますので
今現在の状態を直ぐに把握するには
船上での分析が効果的です。
まず、鉄分ですが、
異常摩耗が発生していないかどうかを
確認することが出来ます。
注油量が不足すると、
油膜切れ等による金属接触から摩耗が増え
結果として鉄分の値が高くなります。
また、燃料中のアルミナ+シリカなどの影響で
異常摩耗を起こした場合も鉄分の値が急激に高くなります。
また、注油過多の状態においても
シリンダ油の添加剤であるカルシウム分がピストンに堆積し
それが摩耗を引き起こすことがあります。
この様な異常な状態を
定期的にチェックすることで早期に発見することが出来るようになります。
また、最新のエンジンの場合は低温腐食による摩耗の心配もあります。
腐食摩耗の場合、通常の鉄分を測定する機器では測ることが出来ませんので、
最近では腐食鉄を測定できるものも出てきております。
次に残存TBNですが、
こちらは酸中和が適切に行われているかをチェックすることが出来ます。
残存TBNが低い場合、
低温腐食が起きている可能性が高くなります。
逆に、残存TBNが高いと
注油過多で無駄にシリンダ油が消費されているだけでなく、
ピストンやリングに堆積物が付いている可能性が出てきます。
この状態が悪化すると、
ボアポリッシュなどのトラブルにつながる可能性があります。
これだけで、完全に状態を把握できるわけではありませんが、
定期的にデータを取っていくことで、
ひとつの目安として十分に役立ちます。
また、掃気口点検の状態と併せてチェックすることや、
専門のエンジニアからのアドバイスを仰ぐことで
より正しい状態を掴むことが可能になります。
これにより、
注油量を適正に保つことで
無駄なシリンダ油のコストを抑えられるメリットがあります。
また、早期に異常を発見できることから
大きなトラブルになる前に対処できる可能性が高くなります。
エンジントラブルで止まってしまうことは、
お客様への信用失墜だけでなく、
船員を危険な状態に晒してしまうことになりますので、
安全のためにも大きなメリットがあります。
この様に、
シリンダ・コンディション・モニタリングは
行って損はないものではありますが、
実際には、なかなか上手く機能していないケースもあるようです。
(次回に続く)
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