VLSFO供給から約半年経って…

マリンサービス 河原です。

 

実質的なVLSFOの供給から

約半年が過ぎました。

 

この半年間で

バンカーに関わる環境は目まぐるしく変化しています。

 

 

先ず、規制がスタートした2020年1月前後。

 

このタイミングは、

VLSFOを手配することが非常に困難で

船の運航に支障がないように

どうやって燃料油を手配するのかで

非常に頭を悩ませていました。

 

 

この状況が長引くと大変だと思っていた矢先…

 

 

今度は新型コロナウイルスが猛威を振るってきます。

 

最初はアジアで影響が出始め、

バンカー需要が急激に減少し

供給タイト感が解消されるようになります。

 

このタイミングでは、

欧米は未だ影響が余りなく

現在のような状況になることは

想像できていませんでしたので

 

需給バランスが戻ったことに

少しホッとしていました。

 

 

しかし…、

 

コロナの影響はアジアに止まらず

欧米でも猛威を振るうようになります。

 

しかもそのタイミングで

OPECプラスの減産協議が決裂。

 

原油価格は

これまで見たことの無いような

急落を見せます。

 

WTIは、

信じられないことに

一時マイナスにも。

 

その影響で、

バンカー価格も急落。

 

適合油に切り替わる時に

高硫黄の燃料油との価格差が…

なんて言っていたのが何だったのかと思うぐらい

元々の高硫黄油の価格の半値以下に

下がっています。

 

 

また、

適合油に切り替わってから

原因がよく分からないエンジントラブルが

散見されています。

 

 

ライナーの異常摩耗や

リングの折損が発生し、

比較的エンジン内部が汚れている

という症状が見られるようですが、

 

その原因が何であるのか?

特定が出来ていません。

 

 

燃料油の代表性状は問題なくても

発生していることから

燃料油だけが要因とも言えません。

 

 

また、

全シリンダで発生している訳ではなく

一部のシリンダのみで問題が発生しているケースもあるなど、

これまでの燃料の品質で発生していたものとは

様子が異なっています。

 

 

これは個人的な推測ですが、

燃料油の粘度や密度、燃焼性などの違いが

バンカーの供給者によって大きく違い

エンジン自体の調整や潤滑油の性能や注油量など、

これまではそれほど気にしなくても問題なかった要因が

少しずつでも影響を与えて

バランスが崩れた箇所に問題が発生してきている。

 

そんな気がしています。

 

 

そうなると、

こういう問題を解決していくには、

一つずつ地道に確認・調整していくしかなく、

対応するのには時間もかかると思われます。

(あくまでも私見ですが…)

 

 

VLSFOへの切り替えによるトラブルだけでも

大変なことではありますが、

それに加えてこのコロナの影響もあり、

乗組員さんの感染予防なども含め

しばらくは厳しい状況が続くと思われます。

 

こういう時だからこそ、

お互いに協力し合いながら

この苦境を乗り越えて行きましょう!